2019年7月に刊行された「日本への警告」というジム・ロジャーズの著作

この内容が今の日本の現状に非常に参考になると思い、まずこれを引用するところから始めます。

その後、所見を述べたいと思います。


引用はじめ

今の日本においても「今度は違う」「日本は違う」は成り立たない。現状の少子化高齢化と巨額の長期債務残高を放置しても破綻しない「ニューエコノミー」など存在しないのだ。

日本の問題はいうまでもなく人口構成に端を発する。
出生率が世界で最も低い国の一つであり、国民年齢の中央値が世界で最も高い国の一つである。人口動態からすれば21世紀の終わりを待たずして日本の人口が半分になるのは明らかだ

日本は長年にわたって巨額の財政赤字を抱えている。その一方で税金や社会保障費を負担する人の数は減少し続けているのだ。財政赤字が減るどころか増え続ける一方の日本において、人口減少は致命的なリスクとなっている。

ところが日本人はどういうわけか外国人が好きではない人が多いため、なかなか移民を増やすことができないでいる。子を産まず、移民を受け入れることも嫌なのであれば、生活水準の低下を受け入れるしかない。

日本の企業は内部留保を溜め込んでおり、社員への給料に還元していないため、すでにじわじわと生活水準が下がっている。

日本の子供には、気の毒にも大人のツケを払わされる未来が待っている。 私が日本に住む10歳の子供であれば一刻も早く日本を飛び出すことを考えるだろう。

人口減少に、そして借金に対して、何か手をうたなくては、日本は衰退を続けるほかない。勘違いして欲しくないのだが、これは私の意見ではない。この問題は簡単な算数ができれば誰でも明らかにできるものだから。

日本政府も常に借金返済の心配をし、利息を払い続けなくてはならない状況で、経済を成長させることは不可能だ。

プライマリーバランス(基礎的財政収支)を均衡させることのできない日本は借金を返すために公債を発行する悪循環 から抜け出せないでいる。日本はまさに内側から蝕まれているのだ。

今の日本政府と日銀は、かつての日本人とは違い、ビジネスにより外貨を稼ごうとするよりも、紙幣を擦り続けて日本を救済しようとしている。これはとんでもない間違いだ。

政府がお金の印刷機を回す時、お金が最初に向かう先は株式市場である。これは歴史が証明している事実だ。
しかし、日本株の株価が高くなったからといって、日本に暮らす多くの人々の生活が豊かになるわけではない。 株価の上昇と引き換えに、日本円の価値は下がっていくのだから、いずれ物価は上がり、高齢者や若者はむしろ深刻な苦しみを味わうことになりかねないのだ。

「木が天まで伸びることはない」つまり天井知らずに上がるものなどこの世に存在しないのだがバブルに特有の熱気や興奮を目にすると、多くの人はまだまだ上がると思ってしまう。

先進国でも最悪レベルの財政赤字を抱え、国の借金が増え続ける中でさらに無駄な公共投資に公費を費やそうというのは正気の沙汰とは思えない。

安倍首相が借金に目をつぶっているのは、最終的に借金を返さなくてはならない局面になった時は、自分がこの世にはいないからだろう。自分や、自らの体制を継続することが彼の行動原理であり、そのツケを払うのは日本の若者だ。

結局のところオリンピックでのせいで日本の借金はさらに膨らむのだ。これは一般の人々にとっては悪い結果にしかならない。
歴史を見れば、オリンピックが国家にとってお金儲けになった 例がないことがわかる。一部の人に短期的な収入をもたらすことはあっても、国全体を救うことにはならず、むしろ弊害を及ぼす。

30年後日本では今より多くの犯罪が起きているだろう。現代の日本人が将来世代にまわしてきたツケを払う段階になれば、国民全体が不満を覚え社会不安が募るものだ。50年後には日本政府に対する反乱が国内で起きている可能性さえある。社会不安は犯罪や暴動革命といった形で明らかになる。「日本人は違う」「暴動などを起きない」と言いたいかもしれないが、これは歴史上どこの国でも起きてきた社会現象なのだ。

人口が減り借金が膨れ上がり衰退を続ける。 そうして生活水準はますます低下し続ける。日本人がそうした未来を望むのであればそれもいい。しかし私はそのような国で暮らしたいとは思わない。

「女性は天の半分を支える」という毛沢東の言葉の通り、女性が男性と同じようにビジネスや政治において活躍するのは望ましいことだ。 女性が大きな役割を果たすように変化することも日本にとってプラン B となるかもしれない。 もし女性天皇が誕生すれば女性の地位向上に大いに役立つだろう。

日本や中国・韓国には危機を表す言葉があるが、英語には完全に一致する言葉はない。危機という言葉にはアジアの何千年もの歴史の中で生まれた叡智を感じる。危機と好機は表裏一体なのだ。

失敗を経験せずに成功するのは不可能だ。私もこれまでに数え切れないほどの失敗をしてきた。 私が失敗したのは自信過剰で、リサーチを怠ったからなのだ。

大半の人が、成功できないのは限られた範囲の不十分な調査しかしないからだ。徹底的に調べることは大変な労力を要するものだが、そのステップこそが他者との差をつける。

21世紀になって情報は溢れかえっており確認する術はいくらでもあるにも関わらず、接する情報の真偽を自分で確認する人の少なさには驚かされる。

人の考えに流されず徹底的なリサーチを行い自らの頭で考える。こんなシンプルなことを心がけるだけでも、あなたは多くの人より成功を収めることができるのだから。

引用終わり


以上の引用には書かなかったが、日本の野党が云うべきことを、世界の大富豪が主張しているのは、野党がゆでガエル化している証明ではないかと考えざるをえません。このような語り方を野党の口から聞いたことはないからです。イデオロギー的発言では国民は聞き飽きているので聞く耳を持たないのです。

ジム・ロジャーズは次のように述べています。

「安倍首相は数々の間違った政策を実行しているが、防衛費の増加は過ちの最たるものだ 。今や、日本は456億ドル を超える防衛費を支出しているが、防衛費をいくら増やしても、日本の将来の為になるには何の役にも立たず、むしろ国民の生活が悪くなるばかりだろう。

すでに問題を抱えている日本において、防衛費をはじめとする支出を削減することもなく、さらに増税を実施するのであれば、日本人は子供を増やそうという気をますます失くしてしまうだろう。これが行く先は国の破滅だ。」

間違っているのは誰の責任かを明確に示しています。その上で、その結果についてわかりやすく、率直に説明しております。大富豪にこんなことを指摘されては野党の面目丸つぶれではないでしょうか。他のことも同様です。もうちょっと頑張ってもらいたいものです。

そしてジム・ロジャーズのメッセージは今の日本に当てはまる点が多くあることに驚きを感じました。「プランB」などの言葉をすでに2年前に知っていたことには、特に驚きました。

日本人・特に野党は勉強が足りないと思います。
金儲けのためだとロジャーズを責めてはいけません。そんな単純なことではないのです。

「21世紀になって情報は溢れかえっており確認する術はいくらでもあるにも関わらず、接する情報の真偽を自分で確認する人の少なさには驚かされる。
人の考えに流されず徹底的なリサーチを行い自らの頭で考える。こんなシンプルなことを心がけるだけでも、あなたは多くの人より成功を収めることができるのだから」

オミクロン株出現の現時点で重要な指摘です。誰のためでもなく自分自身のためなのです。
オミクロン株については日替わりで新しい情報が入ってきます。もう少し情報を整理していずれ投稿するつもりです。


上の図はWHOが分類した変異株で、特に注目すべき変異株はVOIに分類され第6波で水際対策が重要となる。

ウイルスの増減理由として今までにあげられたものは次の通り

1.ゲノムのコピーミス
2.人流の変化
3.人々の対策努力
4.ワクチンの普及度
5.政策の対応
6.医療技術の向上
7.検査件数の増減
8.季節要因

以上のうち第6波の予測に最も影響が大きいと考えられる要因は2、3、4、5、7、8だろう。その中で重要だが一般的に信じられており科学的根拠に乏しい「季節要因」取り上げた。人にとって不利、ウイルスにとって有利な条件を究明することがポイントとなる。

「緩和院長」の動画で17の論文のうち16が共通している点が発表された。注目される条件は温度と湿度の問題である。

◎ 生体反応(宿主側の条件)
  気管のウイルス量が多い(7日目)
  肺の高サイトカイン
  口腔へのウイルス量が多い(10から17日まで)
  中和抗体の減少
  対策としては体を暖かく温かく保つことが重要

◎ ウイルス側の条件(スーパーコンピューター富岳の検証結果)
  部屋の湿度低下30%では口から出た飛沫は小さくなる。
  0.5マイクロメートル以下となり空気中を漂う微粒子エアロゾルになる。
  湿度60%の場合に比べ1.8メートル先に届く10飛沫の量が2倍になった。
  これはウイルスにとって有利な条件となる。
  対策としては室温を低下させない。湿度をできる限り30%程度に保つ。

今年の1月に流行した8都市(武漢、東京、 済州、パリ、シアトル、マドリードなど)
これらの都市は、北緯30°~50°、平均気温5°~11°、絶対湿度が低い。

北海道・札幌は5°から6°(平均気温)で最近の感染者数を見ると微増傾向だが、日本では要注意都市だ。東京は1月に注意が必要だ。

最近の韓国の感染者急増は無視できない。特にオーバースルー感染が異常に高いことには気をつけねばならない。アストロ ゼネカ(アデノウイルベクタースワクチン)が28%に及ぶ点は日本の事情とは異なるが、追加接種が2回目以降4ヶ月に指定されている点は見逃せない。

色々の情報を総合すると私見ながら第6波の予測については、次のことを指摘しておきたい。

9月から10月にかけて感染者が急減したのは、主としてゲノムのコピーエラーによるものと考えられる。冬季対策としては季節要因の科学的解明が重要。

変異株について

WHO分類の変異株(VOI・カッコ内は発生国)

VOC(注目すべき変異株)
アルファ
ベーター
ガンマ
デルタ

VOI(警戒すべき変異株)
イーター(複数国)
カッパ(インド)
ラムダー(ペルー)
イオター(米国)
ミュー(コロンビア)

上記のVOCはすでに世界で流行した変異株。
今後警戒すべき外来株はVOI、特に第6波においては水際対策の強化が必要。2重変異、3重変異の新株への警戒も重要。

懸念される点は、VOIの侵入への水際対策、検査体制、政策のタイミング、季節要因への対応、医療体制の強化などだ。

外来株については特にスクリーニング検査の徹底が求められる。

モリヌビラビル(メルク社)、3CL(ファイザー)などウイルス複製阻害薬、プリピアーぜ阻害薬など経口薬の第3相試験ー供給がスムーズに行われるまでは油断できない。
いずれにしても第6波をクリアすることが目前の課題だ。