2021-12-28

多重系統樹

オミクロン株については、感染拡大のスピードが異常に早い傾向が世界中で明らかになってきました。
感染速度は早いが、重症化率は低いのではないかと言うところが今まで出てきた大方の情報の合致点です。

なかなか科学的な証拠が見つからない苛立ちが見えているが、25日に新しい見解が比較的信頼できる筋から出てきました。

この説は東京大学先端科学研究所・医科学研究科の名誉教授・児玉龍彦氏と立教大教授・金子勝氏の対談の動画が YouTube で発表されたものです。

この動画は末尾に掲載しておきますが、大注目に値する情報だと思われます。
概要はオミクロン株は 2020年の3月に発見されその後長い期間をかけて変異を重ね、最近になって株の根が塊り、急激に感染拡大に至っているものです。

児玉先生の説の骨子は、デルタ株も多重変異を繰り返しながら感染力を強めてきている。つまり 感染拡大時の系統樹を見ることが重要であり、多重変異がデルタとオミクロンが2つの系統樹が同時に重なった状態では感染対策の基本である、検査・ 発見と隔離・治療のプロセスを従来通りのやり方では追いつかないことを強調しております。

これを一貫して精密医療として展開するには、健康保険制度を活用し、クリニックや市中の医師を総動員して迅速にまた正確に対処する体制が必要です。従来の保健所の対処では検査と濃厚接触者の発見に重点がかけられ、隔離と治療に結びついておりません。

問題は早期発見、早期隔離、早期治療を科学的に行うため、精度の高い株のわかるPCR検査が重要で、最終的には抗体検査・ゲノム解析により、抗体の質的・量的実態が把握できるようにしなければならなのです。

今までと違う点はロシアやアメリカに見られるデルタとオミクロンの同時拡大に対してどう対応するか。これができないと医療体制が逼迫し救急医療自体が成り立たなくなるのです。
日本の第5波における医療体制の逼迫以上の危機が訪れるという覚悟が必要です。

詳細は下の動画で専門的な正しい情報をつかみ取り、従来の個人レベルの対処(ああしろ、こうしろだけのメッセージだけ、気の緩みと云って片付ける)に頼る政府の姿勢では医療危機は避けられないと主張、根本解決には2~3年はかかると児玉先生は述べられています。

年内はこの重要な情報をお伝えして締めくくり、新年は8日からスタートしたいと考えております。


 

兪 炳匡・教授のプランBの第7話のトップに次の質問(クイズ)が掲載されました。
質問と答えを記しておきます。

質問
1 世界の GDP ランキングで日本は何位 ?
2 時価総額ランキングTOP 20、日本企業は何社?
3 国際競争力ランキングで、日本は何位?
4 日本の賃金は、10韓国より高い ?

解答
1 先進国で5位(購買力平価ベース)インドより低い
2 バブル期には、時価総額ランキングトップ20に、14社社入ってたのが現在はゼロ
3 バブル最盛期には世界1位であったのが、転げ落ちて現在は30位、先進国で最低 
4 韓国の方が最低賃金も平均賃金も日本より高い

【プロフィール】
兪 炳匡(ゆう へいきょう)
医師、神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センター教授
1967年大阪府生まれ。93年北海道大学医学部卒業。93年~95年国立大阪病院で臨
床研修。97年ハーバード大学修士課程修了。(医療政策・管理学)。2002年ジョンズ・ホプキンス大学博士課程修了(PhD・医療経済学)。
スタンフォード大学医療政策センター研究員、米国疾病・管理予防センター(CDC)エコノミスト、カリフォルニア大学デービス校准教授などを経て20年より現職。
著書に『日本再生のための「プランB」 医療経済学による所得倍増計画』、『「改革」の
ための医療経済学』など。


以上を裏付ける経済学者、金子勝氏の発言を次に記します。

コロナの後遺症は、 世界のサプライチェーンを壊している。

景気が良くないのに物価が上がるつまりスタグフレーション。

12月の輸入物価が44%上がってる。(冒頭の図表)

円が安くなると輸入物価が上がる。日本の富が世界に流出している。

企業の 取引価格の中で原材料価格が猛烈に上がっている。
一方で消費者物価の総合指数はほとんど上がっていないのに、企業物価指数が 日銀の発表では9%上がってる。

賃金を上げられない、そこで消費が増えない、賃金あげてくれないと物が買えない、 消費が増えない、こういう悪循環がこれからますます表面化する。

企業が苦しい状態で賃金を上げられないから消費者の購買力が落ちている。
結果として値上げができない、このマグマが溜まり、どうしても苦しくなると製品の値上げが遅れて出てくることを覚悟しなければならない。

投機マネーが入ってくるので株価だけが上がる

日本の国債残高は GDP の2.2倍

世界の最悪のインフレ率千倍以上、高率インフレに悩まされた国、ブラジル、アルゼンチン、トルコ。


智の巨人・寺島実郎氏の言葉で「貧困の多い国でお米を配るやり方は持続性がない、お米を配る、つまりばらまくより、お米の作り方を教える方が根本的な解決になる。

オランダのチューリップバブル
タイタニック号の氷山衝突による沈没

この2つの事例では、まさかそれが失敗するとは誰も思ってなかった
タイタニック号は当時の旅客船としては最高水準の船で最も安全で、沈没など考えられなかった。

先日、智の巨人と呼ばれる寺島実郎氏がTVに出演しこんな発言をされた。耳を疑うような内容でした。

「今年度の国家予算は、当初予算102兆7千億と数次にわたる補正予算を合算すると180兆円に及ぶ。税収が63兆にも拘わらずーです。」

そこで念のためネットでその裏づけを探ってみました。以下は信頼のおける経済情報からです。
【 政府の2021年度国債発行計画の概要が18日、判明した。発行総額は過去最大の236.0兆円。当初計画としては20年度の1.5倍と、国内総生産(GDP)の4割に相当する異例の規模に膨らむ。新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加経済対策の財源として発行した分を含め、過去に大量発行した国債の借り換えが急増するためだ。

国債残高、1千兆円目前 コロナ対策で歳出膨張―21年度末 】
【 政府の2021年度予算案の全容が18日、判明した。一般会計歳出は、前年度当初予算比3兆9500億円増の106兆6100億円となり、9年連続で過去最大を更新。新型コロナウイルス感染拡大の影響で税収の回復は鈍く、歳入面で国債への依存が続く。21年度末の国債発行残高は990兆3000億円と1000兆円の大台が目前に迫る見込だ 】


文藝春秋の最新号 2022年1月号 (発売日2021年12月10日)に、日本の財政規律の分析、討論が出ているので参考までに読まれることをお勧めします。

最後に金子勝氏の動画を掲載します。