地球温暖化の問題は一部の陰謀論者が唱えていた時点では、環境論として幅を利かせていたが、この陰謀論がいかにして間違っていたか、明らかとなり、以下のような否定しがたい現実となって襲いかかってきているのです。 北極圏の温暖化は地球全体の将来を予測する重要な要素となってきています。

以下は「北極大異変」集英社刊、及び今まで貯めた新聞記事切り抜きから収集した北極圏で起きている未曾有の大事故が発生する生態系に対する破滅的打撃に関する情報をまとめたものです。


1.ロシアの森林火災
北極圏の温暖化、北極圏の氷凍解、ロシアで今年森林火災によって焼失した土地は、10月末までに日本の国土の半分に相当する1816ヘクタールに達し、21世紀に入って最大になった。地元メディアは寒冷地の気温上昇が影響したと指摘している。

火災の発生地は極東サー共和国やシベリア各地が中心ある。火災の発生地比較可能な2000年以降のデータによると焼失面積は最初だった01年の11倍だった。政府系ロシア新聞は樹木が消失すると二酸化炭素( CO2 )が吸収されなくなり、温暖化がさらに進む可能性があると警告を鳴らした。 ロシアでは高緯度ほど温暖化の影響が強く出ており、北極圏の一部ではここ20年で3.9°の平均気温が上昇したとされる。

2.アラスカの超突風
2000年の嵐は8月10日10アラスカ沖合で動き出した。 時速90 km の速度を持続していたが瞬間的には突風が100 km か、それ以上の瞬間風速に達した。あまりの急襲に、アラスカ州最北端の都市店バロー市の緊急事態管理チームは嵐の到来を前に土嚢を積み上げる余裕がなかった。 パルパル市では強風によって浚渫船が一艘沈み、これを助けるために数 10km 間隔で厚い氷の層に穴を開け探索する作業を延々と続けた。

3.北極海の二酸化炭素異常発生
今でも何十万トンという植物、動物、微生物由来の炭素が、侵食されつつある全ての海岸沿いから海へ流れ出している。そうした物質は永久凍土の中に閉じ込められていたのである。この加速された浸食が北極海の化学的性質に影響を与えるただろうと予測している。炭素は一旦水中に入ると二酸化炭素になりてその結果、海洋の酸性化につながる。
温室効果ガス排出を制限することは、この問題に対する分かりやすい解答だが、102年代にこの巨大な課題を達成することができたとしても、北極圏の氷の減少を元に戻すには数世紀かかる。気候変動の専門家がよく指摘するように、ターンにスイッチを切ってすぐに地球気温の上昇が止まるのを期待するのは無理な話で、ましてや短期間にその逆転を期待するのは不可能だ。

4.北極圏の住民移動
気象変動難民の島と言われるベーリング海峡近くにあるシュシュの町、この島は毎年1.5 m から3 m の海岸線を失いつつあり 、 強い嵐に襲われた年には30メートルも失うことさえある。
カナダとロシアにいた人だけが、強制移住を余儀なくされたのみではない。グリーンランドでは1950年代にデンマーク政府が様々な理由のもと、いくつものイヌイットコミュニティを移住させている。

5.異種交配と感染症の発生
北極圏の動物が免疫を持たぬ雑種の病気を、これら南方の動物が運んでくれば、それも新たな影響を及ぼす。近縁性のある様々な動物の異種交配ー例えばハイイログマとホッキョクグマーによって雑種が生まれ、それが在来種を駆逐してしまうような可能性もある。
異種交配とは、異なる2種類の生物間に雑種が生まれることを言う。
異種間交配、生殖域の変化、そして生存競争という生態系のごちゃまぜは、もう一つの見落とされがちな要因によって複雑さを増している。すなわち病気である。

6. ホッキョクグマの激減
本来の北極が北極熊にとって住みにくくなる。
地球の急速な温暖化がもたらす影響はでおそらく数世代にわたって続くだろう。地球気温の上昇をコントロールできるようになるまで、ホッキョクグマに生き延びてもらうため彼らに時間の余裕を与える方策が必要だ。
海水が減少してクマたちが必要な体脂肪を蓄えるための時間が不足した場合、何が起きるか驚くべき結果が出た。誰でも考えるのは温暖化とともに増殖率生存率は直接的に直線的に個体数が徐々に減るというシナリオだが、 ある限界点を超えるや、増殖率と生存率は劇的に低下する。端的に言うとクマの群れは消滅する。 またカリブーもトナカイも、同様にして消滅する。北極圏の環境破壊は全てを加速する。

7.北極の未来
ノルウェーの極地研究所の国際部長という展望の効く立場から、キム・ホルメン国際部長は、地球上の自然を人類がどれだけ歪めているか、それを示す重要な実例の一つでしょう。
何が起きているのか知ること、そしてそれをみんなに教えること、そういう仕事をしなければとホルメンは言う。
北極圏と亜北極圏の森林やツンドラの火災が巻き起こす息詰まる煙幕は、北極で何が起きているかも知らない南方の人達の注意を引くだろう。例えば、2012年にニューヨークとニュージーランドの一部を浸水させたハリケーン・サンディのような嵐だ。
森林火災、ツンドラ火災、海面上昇、沿岸侵食、野生動物の個体減少、侵入種、資源開発、原油流出など切迫した脅威。未来に及ぶ災害は北極の気象変動から予測できる。


結語:
新型コロナの進化速度は人間が10万年もかかって行うゲノムの変異より10万倍も早い。つまり新型コロナは私たちが10万年もかかって行う進化をわずか1年以下で終わらせてしまうということになる。
現状ではワクチン対応は成功しているがこのワクチンを数年から5年ほどしか持たないというのも新しい変異が起こってワクチンを逃れるものが現れるからです。

新型コロナは 、A型インフルエンザやエイズウイルスと同じで、変異速度が異常に早い。
新型コロナは8ヶ月から1年単位でブースター接種が必要になります。

究極的には治療薬である増殖阻止剤の開発が必要です。

人体に有害な変異と中立的変異を区別する必要がある。デルタ株は2重変異株と言われ、スパイクタンパク質に二つの変異が重なっている。
今後も2重変異、3重変異の新株が出現する可能性は否定できないのです。
先に述べた北極圏の大異変が生む生態系の変化が感染症に及ぼす影響は全く予測がつかない大異変なのです。「異種間交配、広まる感染症」で述べた通りです。

先の投稿でウイルスの未来予測技術の進化について述べましたが、ウイルスのゲノム解析は時と場所を条件に入れた膨大なデーターベースに基づくものと云ったことを覚えています。

北極圏の大異変は、重要な環境条件に新たな複雑性を加味する必要に迫られ、予測技術の破壊とも言うべき悪条件に迫られるのです。つまりウイルスの変異についての予測が全くできない暗黒の世界に我々は投げ込まれると言っても過言ではありません。

北極圏の大異変を真摯に見つめ、現実を知ること(長い道のり)からしか、解決の道は得られません


 

これはジョージ・ソロスの表現です。世の中が複雑化するに従い「均衡とは程遠い状態」が蔓延するのです。
ソロスは特に「金融市場の再帰性」がこれに関連していると指摘しております。
その後、ソロスの2006年の著作「世界秩序の崩壊」ー自分さえ良ければ社会への警鐘ーを読みました。これは「ソロスの講義録」の原点になる著作です。
重複するところが多いので多少退屈を覚えましたが、「ブッシュへの宣戦布告」の経緯はソロスの哲学の原点を知る良い材料となりました。

世界の大物投資家であり、大富豪であるジョージ・ソロスがイラク戦争に異を唱え、ブッシュへの宣戦布告を公言した事実は大きな驚きでした。「将を射ようとすれば、まず馬を射よ」との格言を地で行く戦法で、チェイニーとラムズフェルドの攻撃に焦点を向けたのです。アメリカンデモクラシーの原点である独立宣言の「われわれは、これらの真理を自明と考える」は欺瞞に対して無防備であると云っております。また「民主主義は理性を信じる」こと自体が不愉快な現実との対峙を避ける傾向を助長したと指摘しております。

競争原理と価値観の矛盾に対峙するため、彼はカール・ポッパーの「オープンソサイエティー」を支持、これをアメリカンデモクラシーの欠陥とたたかう有力な手段としたのです。理性を信じる民主主義は、それに関与する人々の創造的エネルギー次第であり、それを信じる者は不完全な知識の積極的側面を信じなければならないこと、つまり創造性が何をもたらすか予測する方法はないのです。更に、彼らの思考の結果が何をもたらすかは予測がつかないのです。正にこのことが理念としての民主主義を非常に危険なものにしている要因です。

「オープンソサイエティー」の説明には100ページ以上を要するので詳述は避けますが、9・11やイラク戦争が民主主義のためと言いながら民主主義の破壊をもたらした事実こそが「均衡とは程遠い状態」であり、そのアンティテーゼが「オープンソサイエティー」なのです。私流に言い換えれば「複雑系の科学」です。

複雑系の科学を検索すると複雑系生命科学との関連が窺われます。生命の起源や脳科学に起因する説明を抜きにしては複雑系は語れないことが見えてきます。社会科学と自然科学の接点は唯一ここに求められるような感じがしてならないのです。いずれにしても「均衡とは程遠い状態」の蔓延を解く鍵は複雑系の科学に求められると云っても間違いではないでしょう。但しソロスは「社会科学は再帰性を含む不確定要因が避けられなくこれを自然科学の確定論と混同することは一種の欺瞞である」と主張しております。

一方原因追求も重要で、それを疎かにすれば対策も不十分となるでしょう。そう考えれば対策のために有利なポジショントークは許されるべきかもしれません。ソロスの哲学の基本は社会科学は誤謬を含む危険性を内包しており、自然科学のように法則とか常識とかがまかり通る世界ではないのです。近年の日本の政治・経済について考えるとき、特にソロスの哲学が現在に通ずる貴重な示唆を与えていることに気付かされます。昨今の日本の政治情勢は、9.11からイラク戦争の時代にブッシュ政権が行った、「民主主義を笠にかぶった民主主義の破壊」と似た状況ではないでしょうか。

最近話題となっている「加速主義」は、ニックランドの「暗黒の啓蒙書」に記されていますが、「民主主義を笠にかぶった民主主義の破壊」は似非民主主義や新自由主義を極度に加速することによって、その矛盾が浮き彫りとなり対抗軸が出てくると云うのです。
ソロスの哲学の基本「社会科学は誤謬を含む危険性を内包しており、自然科学のように法則とか常識とかがまかり通る世界ではない」を考えるとき、加速主義はソロスにとってはブッシュの「民主主義を笠にかぶった民主主義の破壊」的危険思想の類かもしれません。



前回の投稿で立憲民主党の代表選について小川淳也さんを推薦すると書きましたが、その後本澤二郎氏の「日本の風景」で見つけた提案が最高の良き提案であることに気づきました。

本澤二郎さんは次のように主張しておられます。「ドイツのメルケル体制の成功が物語っている。ひるまない・屈しない・ぶれない野党の党首には、もはや妥協するばかりの男たちでは無理である。立憲民主党という名前に恥じないためには、森裕子・蓮舫体制が好ましい。

女性の代表と幹事長のコンビは日本の他の政党には見られません。正に希少価値があると思われます。特に辻本さんが当選出来なった現状から見ると、森裕子さん以外に女性代表は考えられません。

前言を翻し恐縮ですが以上の提案が最適だと考えます。

更に便乗して申し訳ありませんが、先にお勧めした「徒然草」より「方丈記」の方が、現在の日本の現実に 合った危機管理の参考書として適切だと考えなおしました。この件についてはまた改めて投稿したいと思います。