今回は、上の動画「全員検査でコロナ克服・検査と治療のシステム構築~前をむいて進むとき【新型コロナと闘う 児玉龍彦×金子勝】」が6月3日に発表されましたので、前回ご紹介した精密医療の体制が急速に固まってきた姿を、引き続きご報告します。
先週の解説をお読みいただいた読者の皆様は既に予備知識をお持ちなので、今回は要点のみの解説にとどめさせていただきます。
世界は精密医療(プレシジョン・メディスン)に向かっており、それを裏付ける精密な抗体検査がキーテクノロジーとなっております。精密な抗体検査についてはその後、具体的進展があり、「認定特定非営利法人・新型コロナウイルス抗体検査測定協議会」が発足するに至りました。
前回も解説いたしましたが、精密抗体検査機を導入済の東大先端研を始め、6団体のメンバーを中心として協議を進めておりました。
その後東大アイソトープセンター、ひらた中央病院なども加わり、先端研の児玉龍彦氏が協議会のアドバイザーとなって上記協議機関が設立されました。
新たに民間大手検査会社・LSIメディアも精密抗体検査機を導入する動きとなり、飛躍的に処理能力が上がる見込みです。
プレシジョン測定は定量法とノイズ除去による「目的ある測定」「重点地域と重点集団に対する全数検査」を可能にしました。
精密(プレシジョン)の更なる進展を受けて、金子勝教授から緊急事態宣言解除後の社会経済・生活復元の新しい考え方の提示がありました。精密(プレシジョン)はこの面でも共通性があり、前提条件として「集中」から「分権」への政策転換が必要だとされております。
権限を中央に集約する権威主義はコロナと闘う政策には不向きで、現政権にみられる「政策決定の不透明さ」「議事録もない非民主的な運営」「利権に走る、中抜き」「官僚の非効率による給付の遅延」など、既に数々の問題が露呈してきております。
思い切って地方分権に舵を切り、権限も財源も大幅に地方自治体に移すべきです。地方自治体に権限と財源を移すことにより政策面でも「精密(プレシジョン)」が進むのです。分権による「見える化」の効果として、前に挙げた縦割りの弊害が取り除かれ、政策実施のスピード感もでてくるのです。
児玉先生と金子先生のこのような展望を総括して「分散型の社会」と称し、コロナに勝つ戦略として必須条件となってきております。
以上の提言は児玉龍彦氏と金子勝氏の連携(科学者と経済学者の連携)があって初めて生まれたコロナ後までを展望した新しい見解です。動画では詳細に語られていますので、特に以上の点に注目してご視聴いただけたらと思います。
追記:一つ提案があります。児玉先生の話の中で、検査結果では陰性が圧倒的に多いことを根拠に、「20検体をまとめて検査して陽性が出たグループだけ再検査すれば、検査コストがケタ外れにに安くなる」とのことでした。この検査方法の名称を勝手に考えました。「パッケージ検査」としてはいかがでしょうか。
その後調べてみたら品質管理などでこの言葉は既に使われています。意味は違うかもしれませんが、バインドより近いかもしれません。「パッケージング検査」がより近い意味合いを持っています。
次回は、新型コロナ下の経済について集めた情報の分析をできる限りお伝えしたいと考えております。