日本のデーターが異常視される図表

今回は経済問題を主に取り組む予定でしたが、明日緊急事態宣言が出ると云うことで世間の関心が急変してきたので、経済と生活の問題は現時点ではコロナ危機と切り離しては考えられないとみて、両者の複合危機として取り組むべきと考えました。

3月30日の日銀営業毎旬報告を待っていたのですが、毎回通常は5日以内に発表されているものが今回に限って一週間たった本日になっても発表されない、今までになかった事態に違和感を感じております。

その裏に何があるのか分かりませんが、関西大学の宮本勝浩名誉教授(理論経済学)の公表した「新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言が発布された場合、経済損失は2年間で63兆円に上る」との試算に注目しました。宮本氏は「日本経済は甚大な打撃を受ける。一日も早い新薬の発明を期待したい」とも発言されています。経済学者といえども、今回の自然災害を考慮せざるを得ないほどの重大事態だと認識しております。

経済への打撃はリーマンショックの約1.5倍になると予想。リーマンショックは2年間でGDPの約7.6%が失われたとし、現在のGDP(約550兆円)に当てはめて計算したと、その根拠を明らかに示されております。

緊急事態宣言を明日に控えたネット上の動きは、今までにない渦が巻き起こっており、大は世界のコロナショックの実態報告から、小はマスクの作り方の動画まで一斉に今まで溜まっていた情報が一挙に表に出てきた感があります。この中には今まで黙っていたがこれ以上は黙ってはおられないとの不満や批判が噴出しています。WHOの方針を全く無視して、検査を抑制的に動いてきた当局や一部の専門家の不作為を批判するものが目立ちます。

前の投稿でもご紹介した中山伸弥教授の新しい発言「五つの緊急提言」の中でもPCR検査を急いで増やすべきとの指摘がありました。この提言についても「こんな当然の正しい発言を”批判を恐れず”と注釈付きで言わなくてはならない雰囲気こそが異常ではないか」と云う青木理さんのコメントも一理ありと思った次第です。

在日米国大使館は4月3日、ホームページ上で「日本で新形コロナウイルスの感染が著しく拡大している」と警告するとともに在日米国民の早期帰国を強く促しました。同時に「日本政府が幅広く検査を実施していないと判断しているため、実際にどの程度罹患しているか、有病率を正確に評価することが難しい」と指摘しております。

更に児玉龍彦東大名誉教授(東京大学先端科学技術研究センター)は新型コロナウイルスの遺伝子解析・配列決定でこのウイルスの正体を見極める基礎的研究の立場から、PCR検査の制限はサンプリング調査を妨げ、基礎研究を困難にしていると訴えております。

この動画はコロナ危機を救う基本的な条件を指摘した貴重な情報です。政治家や官僚が科学の上に立ちはだかっていては、パンデミックを収束させることはできないとの判断から、中山教授の提言と共に、是非耳を傾けていただきたいものです。

定例の投稿を一日繰り上げました。

上は、Coronavirus Talk コロナウイルス対談: YOSHIKI &Shinya Yamanakaの写真です。

山中伸弥教授は自ら感染症の専門ではないとしながら、全人類の問題で黙っているわけにはいかないと云うことで、科学者として大変な熱意をもって、短期間で膨大な関連情報を集め一般公開されました。専用Webページは以下です。

https://www.covid19-yamanaka.com/cont2/main.html

この中には「YOSHIKIとの対談」や「専門用語を使わない、わかりやすい新型コロナウイルスの説明動画」があります。米国や中国や韓国の専門家の情報などもあり、集められた情報の幅の広さには感服させられます。韓国のエビデンスは頭を下げてでも、もっと手に入れたいと云われているあたりは、他の専門家にはみられない、科学者らしいバランス感覚がうかがええます。

このWebページを開かれたら、まず目次をご覧いただきたい。そして目次の項目ごとにざっと内容を確認してください。そうすれば山中先生の科学者としての良心と人類の危機に対する向き合い方が理解できるでしょう。

「専門用語を使わない、わかりやすい新型コロナウイルスの説明動画」 を目次の中から探し出して視聴していただけば基礎知識が得られるでしょう。批判はそのプロセスを経てからにするべきだと痛感いたしました。

緊急を要する世界的危機に関しては、言い争っている段階ではなく、批判するのは大いに結構だが相手に敬意を払う姿勢は忘れないでもらいたいと強調されています。山中教授のこのような熱意とバランス感覚を考慮したうえで、以下の最悪を考える批判的意見を見ていただきたいと思います。


「検査をしないかぎり感染者は増加しない」こんな誤魔化しの対応が続くようであれば、リスクはより高まることになるでしょう。

●孫崎享氏(外交評論家)

 新型コロナウイルスが世界各地で猛威を振るっている。当初、危険性は低いとして平静を装っていた米国のトランプ大統領も感染拡大に対処するため国家非常事態宣言を出した。各国が感染対策として最重要視しているのは「早期発見」と「早期隔離(自宅隔離を含む)」である。

 ところが日本は異なる。政府の方針は「37・5度以上の発熱が4日間以上続く時に相談し、必要に応じて検査する」というものである。検査は1日当たり約600件で、累積検査数は1万3000件程度である。

 この政府方針は感染拡大の防止に対して大きな懸念がある。感染の疑いがある潜伏期間中の人でも、検査前であれば家族はもちろん、さまざまな人と接触する可能性があるからで、「どうぞ、感染を拡大してください」と言っているようなものだ。

●ワシントンポストの記事より

先日の記者会見で、検査数の少なさをネグって「感染者数は韓国、中国、欧州よりも少ない」と、空疎なPRをしていた安倍首相だが、実はもうひとつインチキを口にしていた。

「これまでのデータでは感染が確認され、かつ、症状のある人の80%が軽症です。重症化した人でも半数ほどの人が回復しています。クルーズ船も含めれば、感染者の4割以上、600人に及ぶ方々がすでに回復し、退院しておられます」

この記事は新型コロナウイルスの感染拡大を予測したシミュレーション結果を解説したものです。日本の対応だと感染が突然・爆発的に拡大する恐れがあると警告しております。

●ブルムバーグ

ブルームバーグの記事には、「日本は十分に新型コロナの検査をしていないという批判がある」として、あまりにも実態が不透明な部分があると書いてあり、感染者をまとめた統計に掲載するのは不適切だと判断した結果、日報グラフから日本の数値を削除。見えない感染者が多く発見されていないままだと指摘し、日本の新型コロナウイルス検査体制に強い疑問を投げ掛けていました。

●末尾は、金子勝氏(立教大学特任教授)と児玉龍彦氏(東京大学先端科学技術研究センター名誉教授)の対談で「検査をしないかぎり感染者は増加しない」と云う問題のリスクを科学的に分析しています。

東京都の検査件数が異常に少ない問題を指摘し、これでは爆発的感染が避けられないと警告しております。オリンピックが感染者数を少なく見せる動機となっていると勘ぐられても仕方がないでしょう。首都圏がオーバシュートすれば、生活や金融経済に想像を絶する被害を及ぼし甚大な影響が避けられないでしょう。

東京大学先端科学技術研究センターにPCR検査機器が設置されており1キットで200の検査が同時にできることの説明がありました。実際に現場での見学が、ネット上でできました。

新型コロナウイルスは命に関わる問題でもあり、科学が主導すべき事柄です。科学が政治の陰に隠れ、政治が「やった感」を演出するなど論外です。ましてや報道が無批判にそれに従う姿は危機的状況です。

下の動画は55分程度ですから頑張ってご視聴ください。PCR検査の見学は後半にあります。PCR検査については各種の誤解があるので実際に見聞きすることが重要です。

児玉龍彦教授の説明もかなり専門的で予備知識がないと容易に理解できません。その為に、冒頭の山中先生のWebページのご紹介をしたのです。偏らない情報収集の姿勢には敬意を払うべきです。意に沿わない主張も一部あるかもしれませんが科学者の熱意は素晴らしいと私は大いに感銘を受けた次第です。

その上で私から次の警告を書き留めておきます。

2~4か月でコロナに起因するロックダウンが起きれば、金融経済の大破綻が起き国民生活がどん底に落ちるでしょう。食料自給率が38%の日本は世界の各国のロックダウンと、日本自らがロックダウンせざるを得ない事態により、輸入食料の入手難に襲われることもありうると云う覚悟が必要でしょう。