新型コロナ対策の急激な強化は経済活動の低下を招く

マスクの大群

新型コロナ対策の急激な強化は経済活動の低下を招きます。経済活動の低下は生活破壊につながるのです。だからと云って感染対策をやらないわけにはいかないでしょう。

感染対策と経済を両立させて守る道は大変狭く、従ってより効率的な運用が求められています。
最悪の対策とは、潜在的感染を見逃し対策が遅れた状況を糊塗するため、やみくもに強引な手法で対策することです。

今まさに日本のリーダーはこの道をひたすら歩んでいます。これでは感染拡大と経済破綻のダブルパンチに見舞われる恐れが強くなるでしょう。何度も云っているようPCR検査を制限したことが禍の元です。

韓国では、ある宗教団体から感染が急拡大したと云われています。日本でも同様なことが起こるのではないでしょうか。政府がいくら集会の自粛を喧伝しても、日本のある新興宗教は全国に支部を持ち「祈りなさい、そうすればコロナは退散するでしょう」「マスクは要りません」などと教祖が説教しております。このような宗教団体は感染源になる可能性が強いと思います。盲点ではないでしょうか?

この他中国では 浙江省や湖北省の刑務所での感染者が多数出ていることも注目しておくべきです。刑務所は正に密閉空間の典型的事例なのです。葬式や満員電車など日本独特の密閉空間があることも要警戒です。更に風俗店からの感染などアングラ市場の存在も考慮する必要があります。

特に、パチンコ屋が営業を止めるかどうかに注目しておくのも有力な判断材料となるでしょう。

感染拡大と経済恐慌への波及はタイムラグがあり感染のパンデミックが収まった後にも経済活動停止の影響がしばらく残ることに留意する必要があるでしょう。

最近厚労省の大臣などはPCR検査を拡充すると公表している。ところが同じ厚労省の一部の専門家や、内閣府、国立感染症研究所のOBなどから「検査は意味ない、軽症者には検査しない」と云った声が盛んに聞かれるようになっております。北海道までわざわざ出かけていき検査妨害をする動きまで出ています。

何が何でも検査を否定する動きはマスコミや一部の医師の間でも見受けられます。中には「密閉空間のクラスターには重症者が増えるが、そうでないクラスターには重症化は見られない」などと一見当たり前の主張をする厚労省の専門家まで現れました。ダイヤモンドプリンセス号で既に証明された当たり前のことをわざわざこの期に及んで主張する意図は何か、これもやはり「密閉空間さえ避ければ大丈夫だ従って検査は軽症者には必要ない」ということに結び付ける意図が窺い知れます。

しかし一方、N95と云う医療用マスクが不足しているので「厚労省の検査体制の拡充が整ったとしても末端のクリニック等で検査ができない事情がある」と云うクリニックの医師からのうったえも出ております。

アビガンやレムデシビル(エボラっ出血熱の治療薬)が新型コロナウイルスの治療に効果があり、WHOから臨床治験の結果が3月中に出るとのアナウンスも出ているようです。更に、神奈川県衛生研と理研の共同研究で、「スマートアンプ法」と云って検査時間の大幅な短縮と検査能力の増加が期待できる開発が達成間近」とのニュースも流れてきております。

極度の悲観的観測と、政治的思惑を入れない良いニュースが入り乱れていてもう少し冷静に事態の推移を見ないと正しい判断はできないと云うのが現時点での偽らざる分析結果です。 「どんな情報も否定するな」そして「どんな情報も鵜呑みにするな …」と云う姿勢で見ておくしかないと思います。


以下、東洋経済オンライン2020/02/29 の内容は最近読んだ記事の中で最も参考になったものです。

感染爆発の度合いにもよるが、すでにアメリカでは日本に対して渡航注意のレベルを1つ上のレベルに引き上げており、イスラエルでは日本と韓国からの渡航者を入国拒否とした。

それに対して、日本では2月24日現在、外務省の対応は中国の湖北省全域、浙江省恩州市に対しては「渡航中止勧告」となっているが、それ以外の中国は「不要不急の渡航中止」となっている。

外国人に対しての入国規制は、日本の場合かなり曖昧で外務省がきちんとアナウンスしているわけではない。春節の前に中国の新型コロナウイルス感染拡大が明らかになっていたにもかかわらず、外務省は何も手を打たずに莫大な数の中国人観光客の来日を認めた。

クルーズ船の受け入れに対しても、日本人乗客が多い、日本人乗組員も100人いるといった事情を鑑みて入港を認め、検疫という名目で14日間留め置き、その間に600人を超す感染者をクルーズ船の中で発生させてしまった。—-中略

仮に東京五輪が中止となれば、どの程度の経済的損失が発生するか。

東京五輪の経済効果は、東京都の発表で「32兆円」という途方もない数字が発表されているが、この数字には交通インフラの整備やバリアフリー促進といった間接的な経済活動も入っている。いわゆる「レガシー(遺産)」効果だ。

施設整備費や大会運営費、放映料と言った「直接的効果」は約5兆2000億円で、レガシー効果はその5倍の約27兆1000億円。とりあえず、直接的効果だけを考えれば、約5兆円の損失。日本のGDPが約500兆円とすれば、その100分の1を失うことになるわけだ。—-中略

マイナス要因としては、輸入物価の急激な上昇だ。日本は世界から莫大な量の食料品や石油などのエネルギーを輸入しているが、これらが円安の影響で急騰することになる。本来であれば、こういうときこそ日銀が金融緩和をすべきなのだが、現在の日銀にはその余力がない。マイナス金利拡大は、かえって社会を混乱させる可能性が高い。SARSのときは、日銀は2回金融緩和を実施できたものの、いまその余地は少ない。

打つ手を持たない日銀のために必要なのは、政府はイタリアや韓国がやったような積極的な感染症対策だろう。厚生労働省が、新型コロナウイルスのPCR検査の保険適応をいまだに認めていない現状は、感染者を野放しにしておくのと一緒だ。—-中略

最悪のシナリオ:日本の「武漢化」で全土が封鎖!健康保険、年金資金が枯渇する?

このシナリオが最悪のケースと言える。安倍政権の対応が遅れて、日本に感染爆発が起こり、医療システムが崩壊。日本のあちこちが中国・武漢と同じような状況になってしまうというシナリオだ。サプライチェーンの停滞で海外からの物流は途絶え、食糧不足などの物資不足に陥ることになる。

それどころか、日本中で企業活動が滞り、観光や娯楽といったサービス業も壊滅的なダメージを受けることになりかねない。海外からのヒト、モノ、マネーも遮断され、日本の輸出入もストップしてしまう。日本経済にとっては、まさに正念場となり、株価は底なしで下落する可能性がある。

ちなみに、医療システムの崩壊が指摘されている武漢市の致死率は4.9%、中国全体の平均致死率2.1%を大きく超えている。国土が狭く、人口密度の高い日本で感染爆発が起これば、まさに大惨事になるわけだ。

日本で限定的な感染爆発が起きた場合、経済的な損失は計り知れない。ただ、東日本大震災があった2011年のGDPは、震災被害の規模を16兆~25兆円、GDPを最大0.5%押し下げると、当時の内閣府が震災直後に発表した。

実際には、2011年度のGDPはプラス0.4%となり、かろうじてプラスを保っている。リーマンショックは、2008~2009年にかけて最大マイナス3%程度まで下落しており、金融危機のほうが実体経済に与える影響は大きいことを物語っている。—-中略

一方、新型コロナウイルスの感染爆発は別の不安を生み出す。医療システムの崩壊など国民の生活が壊滅的なダメージを受ける可能性があるのだ。

日本で感染爆発が起これば株価が大暴落し、その株式市場に莫大な資金を投資していた年金資金などクジラと呼ばれる公的資金が致命的な打撃を受ける。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も莫大な損失を出してしまうかもしれない。

高齢者の生活を支えている年金制度が資金不足となり、年金制度の崩壊=国民の生活が破綻するということだ。

クルーズ船で4000人の対応に苦慮していた自民党政権に比べて、数十万人単位の被災者が出た東日本大震災では、市町村、都道府県にある程度の権限を委譲して、対応できたことを考えると、現在の自民党の姿は国民不在の姿勢が目立つ。自民党政権が目指すような中央集権型の危機管理には限界があると言っていいだろう。

そういう意味でも 今後の日本の行方は極めて不透明と言っていい。

PCR検査も、安倍政権を擁護する評論家などが「パニックになるからダメだ」という表現をしていたが、東日本大震災時と同様の危機感をいかに持てるか。まさに危機管理の問題だ。ここでの対応を誤れば、もっとすさまじいパニックになることも想像したほうがいい。

東洋経済オンライン 2020/02/29 より

東洋経済オンラインでは最悪のシナリオの中で「ひょっとしたら来月の今頃は、感染者数が激減して通常どおりの状況に戻っていくというシナリオも考えられる。」とも云っていることを付け加えておきます。

こちらの動画も参考になると思います。