新型コロナウイルスの正体と経済封鎖–基礎研究の重要性

新型コロナウイルスの正体を見極める根本の科学研究が、ロックダウンや「自粛」によってズタズタに裂かれた経済や生活の数か月先を決定する要素となるのです。

従ってわれわれは、いやでも新型コロナウイルスの正体を科学的にしっかり理解しなければならないのです。Covid-19と云う感染症の感染率がそれほど高いわけでもなく、そして重症化率はそれほど大きくないないにもかかわらず、高い致死性を特定の人に対して持っている、ある意味では殺人ウイルスとも云うべき存在なのです。

冒頭には、東京大学先端科学研究所の児玉龍彦名誉教授と立教大学金子勝教授の対談の中に出てくる重要な図表を掲示しました。感染症について基礎研究をやっている専門家と経済学者の組み合わせはそれだけでも斬新ですが、語られている内容は現在のコロナ対策のひずみを糾す貴重な提言です。

基礎研究の学者がここまで具体的提言ができている事に驚きを覚えました。この対談は緊急事態宣言解除前でしたが解除後の再感染増加傾向を見事に想定し、解決策を提示している価値ある提言です。

大学とか研究機関の科学を担う社会的に重要な人たちがステイホームにいってしまった。本当はこの人たちが最前線に出て、検査をつくる、病院を守る、インフラを守る仕事をやるべきなのに、家で犬と遊んだり、歌を聞いていればよい、こんなことでコロナに勝てますか?ステイホームが日本を滅ぼしているのではないか?と心配しています。(児玉先生)

このような「しばり」をやぶって、やられっぱなしではなく、コロナウイルスがどこが危険でどのように防衛するかを自分たちでしっかり考えていく必要があるのです。
一台で一日500件の抗体検査能力を持ち、定量分析やノイズ除去ができる精密な抗体検査機が6つの大学・研究機関に民間の力で入ってきている、そしてこのような日本の科学としては当たり前の行動に若い研究者が目覚めて立ち上がってきているのです。(児玉先生)

これは初めての実験ですが、科学的説明には動画より文章の方が向いているのではないかと考えました。動画ですと、一つ一つのシーンが一定の速度で流れていくので重要なシーンをじっくり吟味することが難しいのです。
特に表現の中に静止画像や図表がある場合は動画は不向きです。全体を通して注視すべき図表がある場合や特に注視すべきシーンがある場合など不便を感じます。
勿論一長一短があるので一概には云えませんが、今回は全く新しい提案が含まれ、動画では誤解を生む恐れがあるため敢えて動画を文章化した次第です。


先ずこの動画の中で主張されている重要な論点を5つ、つながりを考えながら表示しておきます。

1.全体を通じてのキーワードは「精密(プレシジョン)」です。precisionは医学用語としても使われ「プレシジョン医療」は、がんの予防・診断から新規の免疫療法まで、広い分野を包括するものです。必要な治療法を、必要であればいつでも、それを必要としている人に、が重要視されます。科学的に細かに分析する姿勢が必要です。遺伝子解析、遺伝子配列決定などを用いた精密解析が基礎研究にとって最も重要です。(画像1~3、6 参照)

2.それを可能にするには、精密測定器の処理能力の確保が必須。(これについては性能・能力も含め現状報告を後述します)(注目すべきコメントと、画像6 ,8 参照)

3.精密測定の成果として量的把握や動的変化が明らかとなり、免疫についての新しい発見が生まれております。(画像5,6,8 参照)

4.冒頭の図表は科学に立脚したコロナ対策の具体的戦略で、これが「精密検査」に基づいた「精密医療」の決着点です。(画像3、6 参照)

5.今後の課題は対策会議のあり方を見直し、行政官を排除した上で、科学者・感染症の専門家の意見をまとめる組織をつくること、それに加えてプライバシーを担保した感染追跡アプリを作り上げ、非感染者、感染者、安定した抗体保持者(中和抗体など)を選別し、医療崩壊を防ぎ重症者、死者を減らすことに重点を向けることです。(画像3,6参照)


画像1~画像8

画像1
画像2
画像3
画像04
画像4
画像5
画像6
画像8 後方にある精密抗体検査機

以下断片的だが、注目すべきコメントを列記します。

精密コロナ医療=マスでなくセルフで診断する、隔離でなく治療する、ステイホームでなく感染抑制する。(画像3 参照)

感染している人を感染していない人から遠ざけることが大事にもかかわらず、自粛=感染しないヒトと感染しない人が接触しないのが大事と云う変な対策

病院、グループホーム、ライフライン、警察など人に接する職場に新形コロナウイルスがどんどんもぐりこんでいっている、神奈川県の例(画像3 参照)

日本人はかなりの人が免疫を持っている一方、免疫を持っていない人の危険性がより高まってくる。(画像2,5 参照)

東洋人の致死率が少ない中でも、日本人の致死率が他の東洋人より大きい(画像2,5 参照)

永寿総合病院の事例、血液内科病棟40床の40人の患者の内コロナでの死亡者が21人も出ている。

川崎病、免疫のイレギラー、幼児や若年層も感染する。消化器系からの感染も出ている。(画像3 参照)

感染の量的影響が問題、感染量の測定、抗体検査の精度と動的把握や定量測定が必要。(画像1,2,6 参照)

ある病院で抗体検査の結果100人の内10人陽性者が出た。これはノイズなど擬陽性が出る精度の悪い機器を使っていたからで、依頼を受けて先端技術研でPCR検査を行っているところ。(画像6 参照)

外国で要らなくなった、古い精度の悪い検査機がたくさん入ってきているが、これらは科学からかけ離れた論外の代物だ。ノイズを下げることは現代科学の基本的課題、JSRと一緒に10年来やってきた。(画像2,6参照)

研究室にある精密測定器は一日に500検体できる。IGM・IGGを定量測定できる。再現性良好・カットオフバリューと云った世界標準的な測定値も比較もできる。東大病院、東大先端研、慶応病院に東京都の医学総合研究所に既に入っている全部自己資金、大阪大学、京都府立大にも入る予定。(画像1、8 参照)

現在稼働できる精密抗体検査機の能力は一日で3000検体、機器メーカーからは供給の確約を得ている、予定通りいけば、一日1万件の能力まで可能になる。(画像8 参照)

精密コロナ対応:致死的ウイルスである
        一人づつリスクが違う
        高齢者、障碍者、病気の人

感染をしている人に焦点が当たらず、感染をしていない人にばかりに「こうしろああしろ」と云っている(ステイホーム、3密など)、感染している人を発見して治療するなり隔離するなりをしていかないとだめだ。(画像3 参照)

重要な点は免疫にもいろいろな段階があり精密抗体検査機で定量検査をするとHBs抗体や中和抗体を獲得した安定的な免疫が確定できる。弱い免疫で13年で変化した何らかのウイルスから得た免疫の存在の推定、AGGがAGMの前に出てくる多くの事例と逆にAGM潜行型が重症化する症例が多く出ていることから治療方法の見直しなど新たな発見がでてきているのです。(画像3,04,4 参照)

この様に免疫の研究は新しい発見につながるチャンスが多く、特にゲノム解析・配列の決定と結び付け、安定的な免疫は感染力がない事も明らかになっております。(画像2 参照)

また、免疫の研究から、新型コロナウイルスのワクチンの開発は困難でSARSやMERSと同じく10年たっても無理かもしれない。可能性があるとすれば重症化を防ぐための予防薬・治療薬の開発には現在の免疫研究が役立つかも知れません。

免疫と抗体の働きについては、かなり専門的な説明になるので上記画像で学んでいただきたいと思います。(画像4、04、5 参照)


最後に金子勝先生のコメントと児玉先生の結びの言葉

金子:欧米でも韓国でも台湾でも大学がPCR検査を含めてコロナ対策を相当担っている。日本は全くそのようになっていない。異様だ。

金子:児玉さんの説明を聞いていると抗体検査、PCR検査、リンパ球など幾つかの検査を組み合わせた検査をしていかないと駄目だし、膨大検査もしていかないと全体像がつかめないにもかかわらず、厚労省にしても東京都知事にしても数件多くても2桁のわづかな数字で大事な政策、緊急事態宣言や解除を決めているようだが、これではいくらでも数字を恣意的に変えることができ、こんなやり方では必ず感染がまた拡大し、また経済封鎖をしなくてはならなくなるし、そんなことを繰り返していたらますます混乱するだけだ

児玉:そうなることは分かっているので、他の大学や研究機関に呼びかけ、すでに独自の対策を若い研究者や学生も含め実現できるよう頑張っているところです。


今朝のNHKラジオ・マイあさで、中国に友達をもつノンフィクションライターの山田康司さんの報告がありました。

その友達は日本の尺八に興味を持ち、一生懸命練習し尺八の師範の資格を得、中国で尺八教室を始めたのです。しばらく連絡がなかったのですが、コロナ騒ぎでさぞかし困っているだろうと思いSNSで連絡をしてみたのです。蘇州の20代後半のその青年は元気にしているようで、早速SNSで動画を送ってきたのです。

意外なことに彼の尺八教室は普通の通り20人ばかりが車座になりもちろんマスクもなしで三密状態でやっているではありませんか!。尺八は深い呼吸をするし、飛沫感染や濃厚接触の恐れがあるのに、どうしてそんなことが出来るのがと聞くと、こんな答えが返ってきたのです。

「中国では検査が徹底しており感染者と非感染者が厳密に分けられ、健康確認アプリがありその色わけで青が表示されれば非感者で、同じ色どうしであればいくらでも集まることができ、こうして教室も元のように運営できるのです。だから多少は生徒が減っていてもすぐに挽回できるので、どうぞ心配しないでください」とのことでした。

この話からヒントを得ました。中国ではこの健康アプリでプライバシーの侵害につながるのではないかと云う心配があるのですが、日本では精密抗体検査体制が確立されればこの心配は軽減されるのではないか、そしてその条件としては運用主体に信頼が何よりも求められると云う事でしょう。精密検査体制と結びついた健康アプリの運用が民間でもできる可能性があり、大規模検査(定期健康診断の血液検査の利用など)に依拠した方法も考えられるのです。


コロナと闘う戦略図:見えてきたウイルスとの闘い方(児玉龍彦、金子勝)

以上の予備知識の上に立って動画を視聴されれば、より明瞭に理解が進むと思われます。理想を言えば動画と静止画を往復されると完璧ではないかと思います。

上記の動画はこちらです