一月の国会質問で菅元総理が危機管理について船長に質問していたが、「国民の安全安心を第一に鋭意努力する」と具体的な対策を答えなかった。「最悪の危機を考えたことがあるか?」との質問を交え、菅元総理は何度も具体策を求めたが答えは同じで逃げ切ったようだった。このような船長の無責任さはその後ずーと続いている。

このような船長のもとでは船は座礁するか沈没するしかない。乗船している客はどうなるのか心配でならない。そこで掲載の本をご紹介する羽目となったのです。
内容はかなり極端で偏りを感じる面もあるかもしれないが、このくらいの劇薬で無ければ船長の病気は治らないかもしれません。

日本のコロナ感染拡大は、第1波の段階では見かけ上は良好に推移し、終息したかに見えた。その為世界は一時「日本方式」に注目した。しかし、世界的に例外と言える夏の波:第2波を生じ、第3波以降では懸念されていた医療崩壊が局地的に始まっている。時が経つにつれ、日本のコロナ感染拡大は、東部アジア・大洋州ではワースト5の常連と化し、世界に逆行している。この事態を巻き起こしたのは誰なのか? 世界標準のデータ・エビデンスから徹底的に検証する。

【概要】
・統計で見たパンデミック1年日本と世界
・トランプ政権下の合衆国で何が起きたか
・バイデン政権下の合衆国でどうなったのか
・なぜマスクが市中から消えたのか?
・なぜ消毒アルコールが消えたのか?
・なぜ日本はワクチンが遅れたのか?
・PCR検査後進国としての日本とその結果
・世界唯一の本邦検査抑制政策と国策エセ医療・エセ科学デマゴギー
・国策エセ科学・エセ医療デマゴギー(理論編)
・国策エセ科学・エセ医療デマゴギー(実例編)
・原理から見るPCR検査
・なぜインド株が易々と国内に入ったのか? 日本の「ザル検疫」
・なぜ第四波エピデミックが起きたのか?
・世界この先、日本この先

著者の略歴は、牧田寛・まきたひろし、著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。著書は8月18日発売予定でアマゾンで予約出来る。


ベース再加速、デルタ株拡大、世界の死者400万人超

これは7月9日東京新聞の見出しだ。概要を下記します。
米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルス感染者数の死者が8日、世界全体で4百万人を超えた。82日で100万人増の短期更新のペースだった。インドで確認された感染力の強い、デルタ株の流行が続いており、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「非常に危険な時期に入っている」と警戒を呼び掛けている。

同じく、ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると累計死者数は米国で60万人、ブラジルで52万人、インドで40万人を上回っており、これら3か国で目立って多い。

前投稿でも述べたように世界に蔓延する新型コロナウイルスの新株は予想外に多く、アルファ株から始まり、ベータ、ガンマー、デルタ-、ラムダ株と目まぐるしく新株が現れている。前投稿で指摘したが、世界はペルーで猛威を振るうラムダ株に注目が集まっています。東京五輪はこの坩堝の中で開催されるのです。


https://youtu.be/XkB2XumrAx8?t=68

 

2021-07-07

新型コロナは複雑系>複雑系に弱い日本人

上図は昨年5月のもので検査数は今の倍以上あった時期のものです。最近の東京の検査数は6月29日~7月1日の平均で7999件です。緊急事態宣言を解除する前後の少ない時には検査数が4418件のこともありました。これは前の投稿でも述べたように人口1000人当たり0.3人~0.5人に過ぎません。

検査数が過少であれば当然のことながら感染者数も過少となります。異常な数値を異常と感じない理由はいくつかありますが、厚労省がクラスター追及に偏りすぎていることが原因の一つです。変異株が拡大すると濃厚接触者(クラスター)追及が難しくなります。
ウガンダの選手団から2人の感染者が出たのは入国時の検査で濃厚接触者が認定できなかったからでした。

変異株については後で述べますが検査数が少なく感染者数が過少申告となれば、変異株の拡大でただでさえワクチンの取り合いが世界の各国で常態となっている現状から、感染者数の少ない日本に対してはワクチンの供給の優先順位が下げられるのは当然のことです。

首相が訪米してファイザー社のCEOと電話会談で一億人分の供給を約束したと報道されましたが、たとえそれが本当であっても現状を見れば、供給の時期が延ばされるのは当然のことです。検査数を恣意的に抑制して感染者数を過少報告することがワクチンの供給量に影を落とすことは全く皮肉な話で、これこそブーメラン=自業自得ではないでしょうか?。

とは云っても被害を受けるのは国民です。複雑系に弱い政府に複雑系に弱い国民が健康被害を受ける姿はいかにも残念な話です。


次に変異株の話に移らせてもらいます。

元CDC(米国疾病対策センター)の医師・西村秀一氏の「新型コロナの大誤解」という本を読みました。エアロゾル感染の警告が特に印象に残りました。

変異株に関する警告と思いましたが、それ以前の新型コロナウイルス一般の警告なのです。もちろん変異株の脅威が迫ってきた現状にとってもっとも重要な指摘とも受けとれます。ハーバート大学の研究にも同じ指摘があるのです。

日本では「3密」の回避が叫ばれ1~2メーター離れることが要請されていましたが、新しい見解ではそれでは不足で、根本的に「新型コロナウイルスは接触感染よりエアロゾル感染の方が脅威である」ことが科学的に証明されたのです。

クルーズ船や航空機の換気は5~6分で内部の空気が全量入れ替わる強力な換気装置が必要とされます。室外でもすれ違っただけで感染したという例はラムダ株で報告されています。

今世界の変異株の状況はどうなっているのでしょう。まず感染力の強い株が蔓延すればするほど変異のチャンスが増えると云う法則のようなものがあります。よく考えれば当然のことでしょう。

懸念される変異株
アルファ株、ベータ-株、ガンマ株、デルタ株

注目すべき変異株
デルタ株プラス、ラムダ株、シーター株、イプシロン株、カッパ株

WHOで挙げられている変異株は以上のように多数に及びます。

この中で特に注目されている変異株は「アルファ株」です。南米で蔓延し始めている変異株で、ペルーでは10万人当たり500人の死亡が報告されています。アルゼンチンでも流行し、WHOでは世界の29か国ですでに確認されていると警告しております。ペルーの報告ではワクチンの効果は5分の一だとされています。サーカーの南米選手権大会ではワクチンの効果は3分の一しかなかったと報告されています。もちろんワクチンの種類はmRNAではなく、中国製不活化ワクチン(シノバックなど)またはウイルスベクターワクチン(アストロゼネカ製)と思われます。

ファイザー、モデルナなどmRNAワクチンはガンマ株に対し少なくとも80%の効果(通常95%以上)があると報道されています。世界的にmRNAワクチンが不足してくることは当然予測されたことです。新しく表れてくる新種についての実証報告が今のところ少ないので分からないことが多いのです。しかし、東京五輪で7万人もの訪日の人流が生ずるので特別な警戒が必要です。


付記

精密PCR検査機:米サーモフィシャー社製全自動検査機、準備、資料作成含まず約一時間で結果が出る。試薬を含まず約1千万円、試薬等の準備があれば遺伝子検査も可能。ロッシュ製もほぼ同じ性能。

アストロゼネカ製ワクチン:ウイルスベクターワクチンだがインド、英国、ロシアで使われてきたが変異株に効果が少なくどの国も再感染が爆発的に増えてきている。結果的にmRNAワクチンが奪い合いになっている。

アドバイザーボード資料:厚労省の資料としても掲載されている。変異株の影響が小の感染予測と大の予測が記されているが、小のグラフのみ発表され大のグラフは隠されていた。しかしながら小のグラフでも五輪中に2000件に近くなり、大のグラフでは五輪前に2000件になると明記されている。