2021-09-28

「検査して陽性者を見つけこれを隔離する」ことが世界の常識となっていることを無視して政策を歪める「感染症村」の悪弊を絶たない限り、いくら総裁選候補が「改革」を語っても絵にかいた餅でしかない。
これは正論であることを否定できない。しかしこのような主張をする人にありがちな誤解があることを指摘しておきたい。つまり検査の方法についての議論に誤りがあるのだ。

PCR検査がベストであり、「抗原検査は精度が悪く50%くらい誤判定がある」と云う主張だ。これが誤りであることは下記の2020年5月厚労省発表の下記資料を見ればわかるはずだ。

ポイントは、抗原検査には抗原定性検査と抗原定量検査があること、以下の文と図表を見れば理解出来るだろう。富士レビオ株式会社から発売され、承認され保険適用となった抗原定量検査キットがそれだ。

念のため抗原定性検査と抗原定量検査の違いについてわかりやすい説明を加える。

定性検査は抗原が閾値以上存在するかしないかだけしかわからないのに対し、定量検査では抗原が存在する量までわかるのだ。精度の違いは明らかだろう。

検出精度がPCR検査にくらべて極端に悪いのは抗原定性検査であり、これを混同している点がいかにも残念だ。折角「検査して陽性者を見つけこれを隔離する」と云う適切な指摘をしているにも拘らず、認識不足で信頼を落としている。

但し抗原定性検査もPCR検査も、定性検査のタイミングをうまく捉えないと最高の検査結果が得られないのだ。検査結果の経時変化、CT値などを適切に捉える為に数日をおいて繰り返し検査を行っている。


以下厚労省の発表を紹介する。

<抗原定量検査>
 ・6月19日には、富士レビオ株式会社から新たな新型コロナウイルス抗原検出用キットである「ルミパルスSARS-CoV-2Ag」の薬事承認が得られ、6月25日から保険適用となりました。当該製品は、専用の測定機器を用いることにより、従来の抗原検出用キット(抗原定性検査)よりも感度が高く、抗原の定量的な測定が可能であることから、PCR検査と同様に、鼻咽頭ぬぐい液による検査は有症状者、無症状者問わず確定診断に用いることが可能です。
・また、唾液による検査は、当初、症状発症から9日以内の者については可能とされていましたが、7月17日より、PCR検査と同様、無症状の方に対しても、唾液を用いた検査を活用できることとなりました。

無症状者の唾液を用いたPCR検査等について(7月17日掲載)

  PCR検査との違いをご覧ください。

検査種類 抗原定性検査 抗原定量検査 PCR検査
  調べるもの ウイルスを特徴づけるたんぱく質   ウイルスを特徴づけるたんぱく質(抗原) ウイルスを特徴づける遺伝子配列
  精度 検出には、一定量以上のウイルス量が必要 抗原定性検査より少ない量のウイルスを検出できる 抗原定性検査より少ない量のウイルスを検出できる
  検査実施場所 検体採取場所で実施 検体を検査機関に搬送して実施 検体を検査機関に搬送して実施
  判定時間 約30分 約30分+検査機関への搬送時間 数時間+検査機関への搬送時間

新型コロナについては発表されるデーターや情報が時々刻々変化するので、何時のものか、どこのものか、何に関するものかなどを厳密に調べたうえで、そう云う条件も含めた発表をしないと時にはフェークニュースとなってしまうので注意が必要だ。

例えば変異種についてもアルファ株なのかデルタ株なのかラムダ株なのか、どの株についてのデーターなのか特定しないとその対策が3蜜でよいのかエアロゾル感染や空気伝染を警戒するべきかなど重要な対策手段が変わってくる。

更にワクチンの効果や副反応についても、そのワクチンはmRNAワクチン かウイルスベクターワクチンか不活化ワクチンか、更に製造元はファイザーかモデルナか、アストロゼネカかシノバクかなど、特定したうえで論じないと、話がすれ違ってしまう。

根拠となる論文はどこの科学雑誌に出ていたものかその論文は査読を経ているのか、海外情報であればニューヨークタイムスかワシントンポストかCDCかWHOかジョンズホプピンズ大かなど情報源をできる範囲で明らかにすることが必要だ。

以上いかにも細かいことだが、新型コロナウイルスは進行中であり、動く標的を走る馬から射るような難しさがあることを指摘したかったのだ。

追記:

現在、依然として古い抗原定性検査キットが使われています。これは在庫処分の疑い濃厚です。ご注意ください。

尚、英国製薬大手グラクソン・スミスクラインなど(米ビア・バイオテクノとの共同開発)が開発した新型コロナウイルス感染症の新しい治療薬「ソトロビマブ」が特別承認されたと発表されました。一液性で扱いやすく、また試験管内の実験では、デルタ株など変異株への効果も確認できたとされております。重症化リスクの高い軽症者が対象となっていることなど含めこの冬の第6波の景色が変わる可能性もあるかもしれません。このように技術は日進月歩で目が離せません。