2021-07-07

新型コロナは複雑系>複雑系に弱い日本人

上図は昨年5月のもので検査数は今の倍以上あった時期のものです。最近の東京の検査数は6月29日~7月1日の平均で7999件です。緊急事態宣言を解除する前後の少ない時には検査数が4418件のこともありました。これは前の投稿でも述べたように人口1000人当たり0.3人~0.5人に過ぎません。

検査数が過少であれば当然のことながら感染者数も過少となります。異常な数値を異常と感じない理由はいくつかありますが、厚労省がクラスター追及に偏りすぎていることが原因の一つです。変異株が拡大すると濃厚接触者(クラスター)追及が難しくなります。
ウガンダの選手団から2人の感染者が出たのは入国時の検査で濃厚接触者が認定できなかったからでした。

変異株については後で述べますが検査数が少なく感染者数が過少申告となれば、変異株の拡大でただでさえワクチンの取り合いが世界の各国で常態となっている現状から、感染者数の少ない日本に対してはワクチンの供給の優先順位が下げられるのは当然のことです。

首相が訪米してファイザー社のCEOと電話会談で一億人分の供給を約束したと報道されましたが、たとえそれが本当であっても現状を見れば、供給の時期が延ばされるのは当然のことです。検査数を恣意的に抑制して感染者数を過少報告することがワクチンの供給量に影を落とすことは全く皮肉な話で、これこそブーメラン=自業自得ではないでしょうか?。

とは云っても被害を受けるのは国民です。複雑系に弱い政府に複雑系に弱い国民が健康被害を受ける姿はいかにも残念な話です。


次に変異株の話に移らせてもらいます。

元CDC(米国疾病対策センター)の医師・西村秀一氏の「新型コロナの大誤解」という本を読みました。エアロゾル感染の警告が特に印象に残りました。

変異株に関する警告と思いましたが、それ以前の新型コロナウイルス一般の警告なのです。もちろん変異株の脅威が迫ってきた現状にとってもっとも重要な指摘とも受けとれます。ハーバート大学の研究にも同じ指摘があるのです。

日本では「3密」の回避が叫ばれ1~2メーター離れることが要請されていましたが、新しい見解ではそれでは不足で、根本的に「新型コロナウイルスは接触感染よりエアロゾル感染の方が脅威である」ことが科学的に証明されたのです。

クルーズ船や航空機の換気は5~6分で内部の空気が全量入れ替わる強力な換気装置が必要とされます。室外でもすれ違っただけで感染したという例はラムダ株で報告されています。

今世界の変異株の状況はどうなっているのでしょう。まず感染力の強い株が蔓延すればするほど変異のチャンスが増えると云う法則のようなものがあります。よく考えれば当然のことでしょう。

懸念される変異株
アルファ株、ベータ-株、ガンマ株、デルタ株

注目すべき変異株
デルタ株プラス、ラムダ株、シーター株、イプシロン株、カッパ株

WHOで挙げられている変異株は以上のように多数に及びます。

この中で特に注目されている変異株は「アルファ株」です。南米で蔓延し始めている変異株で、ペルーでは10万人当たり500人の死亡が報告されています。アルゼンチンでも流行し、WHOでは世界の29か国ですでに確認されていると警告しております。ペルーの報告ではワクチンの効果は5分の一だとされています。サーカーの南米選手権大会ではワクチンの効果は3分の一しかなかったと報告されています。もちろんワクチンの種類はmRNAではなく、中国製不活化ワクチン(シノバックなど)またはウイルスベクターワクチン(アストロゼネカ製)と思われます。

ファイザー、モデルナなどmRNAワクチンはガンマ株に対し少なくとも80%の効果(通常95%以上)があると報道されています。世界的にmRNAワクチンが不足してくることは当然予測されたことです。新しく表れてくる新種についての実証報告が今のところ少ないので分からないことが多いのです。しかし、東京五輪で7万人もの訪日の人流が生ずるので特別な警戒が必要です。


付記

精密PCR検査機:米サーモフィシャー社製全自動検査機、準備、資料作成含まず約一時間で結果が出る。試薬を含まず約1千万円、試薬等の準備があれば遺伝子検査も可能。ロッシュ製もほぼ同じ性能。

アストロゼネカ製ワクチン:ウイルスベクターワクチンだがインド、英国、ロシアで使われてきたが変異株に効果が少なくどの国も再感染が爆発的に増えてきている。結果的にmRNAワクチンが奪い合いになっている。

アドバイザーボード資料:厚労省の資料としても掲載されている。変異株の影響が小の感染予測と大の予測が記されているが、小のグラフのみ発表され大のグラフは隠されていた。しかしながら小のグラフでも五輪中に2000件に近くなり、大のグラフでは五輪前に2000件になると明記されている。


 

予告通りまず検査数の推移から報告します。ジョンズ・ホプキンズ大の報告によると世界先進国の1000人当たりの検査数は米国で1.5人、北米で2.5人、オーストラリアで2.5人、ヨーロッパは1.5人~3人となっております。

これに対して日本の中で感染者の多い東京はと云えば6月20日前の多い時でもなんと0.5人、緊急事態宣言解除直前の6月18日から6月20日の平均値で0.3人です。東京都で一日の検査数が4500や8000ということは先進国水準にほど遠く、先進国水準に直せば少なくとも一日20000件はやらなければ信頼できる数値とは言えません。

この異常な検査数で割りだした感染者数が常識外れに少なくなることは小学生でもわかることで、こんないい加減な数字にもとずいて政治家も役人もマスコミまでがもっともらしく意見をたたかわしている姿は漫画でしかないのです。しかもこの恣意的な数字で感染対策の基本方針が決められ、オリンピックの開催ルールまで決められている事実は世界の各先進国からどう見られえているのか疑問です。

ワシントンポスト紙には見出しに ”Yattafuri” と日本語をローマ字で表現したものがありました。英語ではどうやら”やったふり”に該当する単語がないらしいです。”Yattafuri” は日本の政治のいい加減さを皮肉ったつもりでしょう。東京五輪はいよいよそれがバレバレになる良い機会です。

こんな環境にもかかわらずデルタ株(インド株)が世界に蔓延したかと思えば、今度は南米でラムダ株が流行し、ペルーでは10万人当たり500人の死亡が報告され、アルゼンチンでも蔓延が起きております。
WHOはラムダ株は今最も注目すべき変異種で、すでに世界の29か国で感染拡大が始まっていると発表しております。

サッカーの南米選手権大会で80人に及ぶ陽性者が出たことがわかり、ワクチンの効果は3分の一だと云われております。

ウガンダの選手団2名の感染が報告されデルタ株に関する水際対策の不備が問題となっておりますが、世界は既にラムダ株に関心が移っております。ラムダ株の水際対策はさらに難しい課題です。これに対して無防備のまま五輪を迎えることになるのでしょうか?。

菅首相の「内奏」が6月22日、西村宮内庁長官の「拝察」発言が6月24日、この日付の順序に関心が集まっております。「内奏の内容から陛下は心配を持たれたと拝察せざるを得ない」と云う見解があるがと記者会見で記者から質問が出ております。

以上、変異株特にラムダ株の問題を考えると、空気伝染に近いエアロゾル感染を考慮に入れると濃厚接触者がつかみにくくなることが予想され、検査件数を増やさざるを得なくなる事が容易に予測されます。その結果感染者数も急激に増加し、コロナが良きにつけ悪しきにつけ社会を変えていくことになるでしょう。


最後にコロナが政治状況も激変させると見通すストーリーを参考までにご紹介いたします。これはあくまでもストーリーなので、必ずそうなるとは思いませんが、激変の予兆を感じとるには良い材料となるでしょう。

元朝日新聞記者・ジャーナリスト、佐藤 章さんの動画