映画「新聞記者」と「日本社会に漂う不思議な空気感」

関わっていたら辞任の発言

この映画は一流の映画館新宿ピカデリー・東映などで放映されるに及び、外国でも注目を浴びるに至っております。

これを検証するため、私は Netflix で延々6時間に及ぶ鑑賞をあえて行いました。さらに朝日新聞の取材記者たちの著作「権力の背信」を手に入れ、このドキュメントの現実性を確認したのです。

まず最初に目に飛び込んできた第一作と考えられる韓国での作品(これは6っの作品中の第一作と考えたのですが)どうやらそうではなく、これは番外編で6作の 中心的作品は米倉涼子、寺島しのぶ、など有名俳優が主演の「森友事件」をテーマとした ストーリーが本題だったようです。

もちろん「森友事件」にも関心がありましたが、「加計学園」を扱った番外編に異常な関心を寄せました。なぜかと云えば「森友」のようにドキュメントとして現実性が高いものではなく、聞き及ぶ現実と遥かにかけ離れた映画らしい現実離れの要素が強く感じられたからです。

つまり、現実と映画(ドキュメント性が強いか架空のストーリーなのか)を解明しなければ気がすまない、そう云う意味で異常な関心をもったのです。ストーリー性がいくら強くても現実に基づいた真実のものもあることは承知しております。

加計学園事件を映画化したこの作品において、聞き及ぶ現実と最も異なる点はいくつも挙げられますが、最大の相違点は校舎の設計図の中に旧日本軍やベトナムで使用された生物兵器(つまり毒薬)を製造するエリアがあり、極秘事項となっていたこと、その秘密を巡って自殺者が出たこと。

「内調」に所属する官僚が、その秘密事項を探っていた新聞記者にめぐりあい行動をともにする。

内調の官僚はその行動が上司に見つかり、出産を控えた妻を守る努力との板挟みとなり悩んでおりました。

新聞記者がこれに気づき、心配のあまり彼を追いかけ、ついに会うことが出来たが官僚は茫然自失状態でどうしたらよいか「もし自殺に追い込まれたら」というシーンでこの映画は終わっているのです。

朝日の記者たちの著作「権力の背信」ではわずかに、「ライフサイエンス分野」と云う言葉が見られたが、これが該当するのかどうかは分からない。さすがの朝日の記者もこのマル秘中のマル秘には踏み込むことが出来なかったのかもしれません。

それに比べて「森友事件」については現実感が溢れていた。米倉涼子演じる新聞記者が最初に出会ったときのフレーズ「私や妻が関係していたら首相や議員を辞める」と国会で啖呵を切ったそのものズバリのシーンが飛び込んでくる。

国有地大幅値引きの根拠となったゴミの量の算定根拠の欺瞞、佐川氏の国会での虚偽答弁、公文書の作り変え・廃棄など現実と全く同じです。これらの記述は「権力の背信」でも詳細に報告され有力な裏付けとなっております。

なぜこんな明らかな背信がまかり通るのかだれでも疑問を持たざるを得ません。表題に書いたような日本の社会に蔓延する不思議な空気感とは何なのでしょうか?
天の声、権力者は戦時中の天皇の様に、自ら手を下すこともなく、不思議な空気感をフルに活用するのです。まさに権力者が知らないうちに着々と事は運び、逆らうものは次々と犠牲者となり人生を狂わすのです。

「転び者」とは昔キリシタン弾圧時代、キリシタンから寝返った輩が弾圧者側に加わり「踏み絵」を考案し最も有力な弾圧者となったのです。

河合あんりさんの自殺未遂事件、親友に「さようなら」のメッセージを残していた悲しい事件は「不思議な空気」が残した犠牲者の行末を象徴しているのです。
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このあとはNHK政治マガジンのような権力者側の情報源までもが堂々と批判を始めたことをご紹介し、「不思議な空気」も民の覚醒で変えられる。つまり世の中捨てたものではないと云うことで、希望をつなぎたいと思います。

以下原文通り引用します。

首相「私や妻が関係していたら首相や議員辞める」のあと記録廃棄:2018年6月4日

森友学園をめぐる決裁文書の改ざん問題で、財務省が公表した調査報告書には、去年2月17日に安倍総理大臣が国会で「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と答弁したあと、政治家の問い合わせに関する記録の廃棄が進められていったことが記されています。

それによりますと、安倍総理大臣の答弁のあと、理財局の総務課長が国有財産審理室長や近畿財務局の管財部長に対し、安倍総理大臣夫人の昭恵氏の名前が入った書類があるか確認を進めたということです。

その結果、総理大臣夫人付きの職員から理財局に照会があった際の記録が確認され、近畿財務局からは、そのほかの政治家の関係者からの問い合わせの記録について相談があったとしています。

これらを踏まえて総務課長は、政治家の関係者による問い合わせについてリストの作成を指示し、その内容を佐川前理財局長に報告しました。
佐川氏は、交渉記録の保存は1年未満という「文書管理のルールに従って適切に行われるものである」という考えを示したということです。

総務課長は、佐川氏に記録を廃棄するよう指示されたと受け止めて、国有財産審理室長や近畿財務局にそうした内容を伝え、記録の廃棄が進められたとしています。

一方、森友学園との交渉記録をめぐって佐川氏は去年2月24日に国会で「交渉記録はなく、面会などの記録も残っていない」と答弁しますが、理財局の総務課長などは、この答弁までは実際には記録が残っていると認識していたとしています。

佐川氏は実際に記録が残っているかどうかを確認しないまま、文書管理のルールどおりに廃棄されているはずだと認識していたということです。

さらに佐川氏はこの答弁のあと総務課長に対し、答弁を踏まえて文書管理の徹底について念押ししたということで、これによって総務課長は、残っている記録があれば適切に廃棄するよう指示されたと受け止めた、としています。

そして総務課長は、文書管理を徹底すべき、として近畿財務局や財務省の国有財産審理室に伝え、それぞれの部署で交渉記録の廃棄が進められたということです。(冒頭の映像はNHK-WEB・NHK政治マガジンの本引用文のトップに掲載されたものです)

最後に、Netflixで「新聞記者」をぜひご覧いただくようお勧めして終わります。

注)週刊文春の紹介記事に対する批判が一部話題となっていますが、その批判は現実にあっていない部分が一部あるということでした。映画である以上これは止むを得ず。大筋では問題ないと考えます。