ウイルスの勢力増減の理由、科学的根拠:第6波への影響

上の図はWHOが分類した変異株で、特に注目すべき変異株はVOIに分類され第6波で水際対策が重要となる。

ウイルスの増減理由として今までにあげられたものは次の通り

1.ゲノムのコピーミス
2.人流の変化
3.人々の対策努力
4.ワクチンの普及度
5.政策の対応
6.医療技術の向上
7.検査件数の増減
8.季節要因

以上のうち第6波の予測に最も影響が大きいと考えられる要因は2、3、4、5、7、8だろう。その中で重要だが一般的に信じられており科学的根拠に乏しい「季節要因」取り上げた。人にとって不利、ウイルスにとって有利な条件を究明することがポイントとなる。

「緩和院長」の動画で17の論文のうち16が共通している点が発表された。注目される条件は温度と湿度の問題である。

◎ 生体反応(宿主側の条件)
  気管のウイルス量が多い(7日目)
  肺の高サイトカイン
  口腔へのウイルス量が多い(10から17日まで)
  中和抗体の減少
  対策としては体を暖かく温かく保つことが重要

◎ ウイルス側の条件(スーパーコンピューター富岳の検証結果)
  部屋の湿度低下30%では口から出た飛沫は小さくなる。
  0.5マイクロメートル以下となり空気中を漂う微粒子エアロゾルになる。
  湿度60%の場合に比べ1.8メートル先に届く10飛沫の量が2倍になった。
  これはウイルスにとって有利な条件となる。
  対策としては室温を低下させない。湿度をできる限り30%程度に保つ。

今年の1月に流行した8都市(武漢、東京、 済州、パリ、シアトル、マドリードなど)
これらの都市は、北緯30°~50°、平均気温5°~11°、絶対湿度が低い。

北海道・札幌は5°から6°(平均気温)で最近の感染者数を見ると微増傾向だが、日本では要注意都市だ。東京は1月に注意が必要だ。

最近の韓国の感染者急増は無視できない。特にオーバースルー感染が異常に高いことには気をつけねばならない。アストロ ゼネカ(アデノウイルベクタースワクチン)が28%に及ぶ点は日本の事情とは異なるが、追加接種が2回目以降4ヶ月に指定されている点は見逃せない。

色々の情報を総合すると私見ながら第6波の予測については、次のことを指摘しておきたい。

9月から10月にかけて感染者が急減したのは、主としてゲノムのコピーエラーによるものと考えられる。冬季対策としては季節要因の科学的解明が重要。

変異株について

WHO分類の変異株(VOI・カッコ内は発生国)

VOC(注目すべき変異株)
アルファ
ベーター
ガンマ
デルタ

VOI(警戒すべき変異株)
イーター(複数国)
カッパ(インド)
ラムダー(ペルー)
イオター(米国)
ミュー(コロンビア)

上記のVOCはすでに世界で流行した変異株。
今後警戒すべき外来株はVOI、特に第6波においては水際対策の強化が必要。2重変異、3重変異の新株への警戒も重要。

懸念される点は、VOIの侵入への水際対策、検査体制、政策のタイミング、季節要因への対応、医療体制の強化などだ。

外来株については特にスクリーニング検査の徹底が求められる。

モリヌビラビル(メルク社)、3CL(ファイザー)などウイルス複製阻害薬、プリピアーぜ阻害薬など経口薬の第3相試験ー供給がスムーズに行われるまでは油断できない。
いずれにしても第6波をクリアすることが目前の課題だ。